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オープンアクセス・オープンサイエンスとは

◆ オープンアクセスとは

オープンアクセス (Open Access) とは、論文をオンライン上で制限なしに利用できることを指します。
ブダペスト・オープンアクセス・イニシアティブの定義によれば、オープンアクセスである論文には、無料で見られるだけではなく、引用元の明示など最小限の制約で自由に利活用できるよう明示する(注)ことが求められます。
つまり、オープンの定義を満たす著作物は、その著作を損なわないための最低限の条件(著者名の明示など)を遵守することを前提に、例えば引用のレベルを超えた抜粋、図版の引用、翻訳出版などを、著者から許諾を得ることなく自由に行うことができます。
研究資金の助成機関でもオープンアクセスを推奨しており、海外の機関の中にはオープンアクセスを資金助成の条件としているところもあります。

参考:
- Budapest Open Access Initiative

- 科学技術振興機構(JST) オープンサイエンス促進に向けた研究成果の取扱いに関するJSTの基本方針
 
- 日本学術振興会(JSPS) 独立行政法人日本学術振興会の事業における論文のオープンアクセス化に関する実施方針

論文をオープンアクセスにすることで、分野のコミュニティを超えて広く論文を読んでもらえる可能性が高まります。
また、利用者の側からは複雑な著作権処理が不要になるため、ご自身の研究成果が最も利活用されやすい状態になります。

(注)利用条件の明示について
利用条件を明示するには、論文にライセンスを付与する方法が一般的です。
学術コミュニティでは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)が広く利用されています。
オープンの定義に合致するライセンスを特にオープンライセンスと呼び、CCライセンスでは「CC-BY」(表示)、「CC-BY-SA」(表示 – 継承)が該当します。

参考:クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは  ◇  解説動画

OA

● 実現方法

オープンアクセスを実現するには、大きく分けて2種類の方法があります。

1. オープンアクセス出版(Gold Road)(注)
APC(論文投稿料)を支払うことにより、論文を出版と同時に無料公開します。
ライセンスを付与することにより、オープン化が可能な場合もあります。

オープンアクセス出版モデルには、いくつかのパターンがあります:

1) フルOAジャーナル
オープンアクセスの論文のみが掲載されるジャーナル。

2) ハイブリッドOAジャーナル
有料の論文とオープンアクセスの論文が混在するジャーナル。著者が投稿料とは別に追加料金(オープンアクセス費)を支払うことで、論文をオープンアクセスにすることが可能なオプションが用意されている。

3) Delayed OAジャーナル
論文出版後、一定期間が経つと論文が無料公開されるジャーナル。オープンアーカイブとも呼ばれる。公開猶予期間(エンバーゴ期間)は、ジャーナルによって6ヶ月~24ヶ月と幅がある。
ジャーナルによっては、エンバーゴ期間を待たずにオープンアクセスにできる有料のオプションを用意している場合もある。



2. セルフ・アーカイビング(Green Road)
大学・研究機関等が構築・運用する機関リポジトリ等で論文を無料公開します。
多くのリポジトリソフトウェアではライセンスの表示機能を備えているため、オープン化が可能です。
もっとも、出版元によっては、セルフアーカイブの条件をポリシーで定めていることもあります。

参考:セルフアーカイブの条件検索サイト:

   - SHERPA/RoMEO : publisher copyright policies & self-archiving

   - 学協会著作権ポリシーデータベース(SCPJ)

※注:出版社によっては、「オープンアクセス」が「無料公開」と同義で使われている場合もあります。
投稿の際には、各出版社の投稿規程をよくご確認ください。
また、投稿規程にはライセンスに関する記載がないものの、論文にライセンスを付与できる出版社もあります。詳しくは、情報図書室までお問い合わせください。


    
◆ オープンサイエンスとは

オープンサイエンスは、第5期科学技術基本計画によれば、オープンアクセスと研究データのオープン化を含む概念とされています。
論文やそのエビデンスとしての研究データなどの研究成果を広く一般社会へ公開することで、分野を超えた新たな知見の創出や研究成果の幅広い活用、イノベーションの創出が図られることが期待されています。

参考:第5期科学技術基本計画
   
オープンサイエンスの推進に当たっては、論文のオープンアクセスをさらに進めるほか、その他の研究成果としてのデータについても、可能な範囲で共有・公開することが重要となります。
もっとも、データの共有や公開には、個人のプライバシー保護、財産的価値のある成果物の保護という観点のほか、研究分野により研究データの保存と共有方法が異なる点にも配慮が必要です。
研究データの共有・公開の詳細については、研究データ管理 をご覧ください。